ネパールの僻地山間部には、水道はありません。
村人たちは、湧水を生活用水として利用しています。家までは、水瓶で運ばなければなりません。
水を運ぶのは、子供と女性の仕事です。
雨の日も風の強い日も、子供でも重さ15Kgにもなる水瓶を運びます。大人の水瓶は30Kgにもなります。
1時間以上急な山道を登らなければならない村も、たくさんあります。
村に共同水場があれば、子供たちは学校へ行く時間を削って水汲みをしなくてもよくなります。
「村に、水場を造ってあげよう!」
よい案です。でも、ちょっと待って。
日本人がお金を出して、建設業者に依頼して、水場を造ってもらう。。。
果たしてそれが、村人たちへの本当の支援になるのでしょうか?
私たちは考えました。
真の支援とは、
「村人たちが自立して発展していけるよう、お手伝いをすること」 なのではないかと。
僻地山間部の住民たちには、現金収入がほとんどありません。
そこで、水貯蔵タンクや共同水場を造るためのコンクリート、水を引くための塩化ビニールパイプなどを購入する資金だけは、援助することにします。
建設作業は、村人たち皆の力で行ってもらいます。
湧水場所から、数キロメートルに渡る塩化ビニールパイプを地中深くに埋設していく作業は、容易ではありません。
けれども、その作業を村人総出で行うことにより、村の共有財産である水場を、共同で大切に管理していかなければならない、という意識が生まれます。
建設物は、経年劣化していきます。
管理補修のための担当者をおいたり、その費用を積立てることも、村人たちは自主的に行い始めています。
そしてまた、共同水場が出来たことにより、近隣からの転入で世帯数が増えて活況な村に成長しているとの報告も入っております。
山の中腹に造られた水貯蔵タンク。
山奥の湧水を塩化ビニールパイプで引いてきて、このタンクに貯蔵する。
民家5~7軒に1つの割合で造った共同水場へは、このタンクからひいている。
記念プレートには、「さいたまユネスコ協会」の名
共同水場の完成式では、村人たちと共に喜び合う。
急な斜面を切り拓いての水貯蔵タンク設置工事は、困難を極めた。